発音千夜一夜 ~ 番外編 サプリメントとしての英語舌

前回も言ったとおり音読パッケージの単調さを少しでも減らすための本の紹介です。
あ、「リエゾン」、「フラップ」、「リダクション」という用語が理解出来てる人には不要な内容ですのでまたどうぞ。

私は発音千夜一夜で2回にわたって書いたとおり発音学習の最初の山は超えたつもりの初学者です。
辞書を引いて発音記号を見ればぎこちないながらも正しいであろう発音が出来るし、初見の単語があってもフォニックス式である程度推測もできる。音読パッケージのリピーティング時のヒアリングでもbとvやlとrなども注意して聞けば聞き分けられる気がする…。
ただ上記の用語など聞いたこともありませんでした。

ネイティブの発音が発音記号と違う?

音読パッケージじゃなくてもヒアリングの学習やった人なら気づいてると思うんですけど…、
「このネイティブの人達ぜったい発音記号どおり発音してないよ!」って経験ありますよね。
「ネイティブなのに?発音記号と違う?そんなバカなヒアリングミスだろ?」
ふつーそう思いますよね。初学者なら。でもあるんです絶対。

これは常識? ~ リエゾン

基本の基本から言うと、Have a nice day!は発音を辞書通りいうと「ハヴ ア ナイス デイ!」ですよね。

不正確なカタカナ英語は許してください。発音記号のWebでの書き方分からないし読めない人には伝えられないし。
でも実際ネイティブが言うのを聞くと「ハバ ナイス デイ!」って聞こえます。これはわかります。
haveとaがくっついちゃったんですね。で、haveのvがaにくっついてしまった。
さすがにこの程度は一般常識として知っていました。ちなみにこれはちゃんとした用語では「リエゾン」と呼ばれる現象です。

意外と知られてない ~ フラップt

ただこっからは初学者は知らない人も多いと思います。代表的な例は「water」。
使えないカタカナ英語の代表例なので知っているかもしれないですがアメリカ英語では「ゥワラ」みたいな発音です。
前半はいいけど「tはどこ行ったの?どこにラ行の音が?」これは持って当然の疑問ではないでしょうか。


これは「フラップt」と呼ばれるアメリカ英語の現象で、すげえ乱暴に説明すると母音に挟まれたtは、DもしくはLでもRでもないラ行のように発声するのです。
letterとかbetterとかの発音でも感じたことあるでしょう。ないならアメリカ英語のWeb辞書で音声聞いてみましょう。
tが聞き取れないはずです。その代わりに上で言ったラ行っぽい音が聞こえますね。これがフラップtです。
まあ「water」レベルだとちゃんとフラップした音が辞書の発音記号に載ってることもあります。
ただこのフラップってやつは単語だけじゃなく文中でも発声するのです。アメリカ人め…。

例えば「Check it out!」。「チェック イットゥ アウッ」って辞書通りにキレイに発音してもネイティブとは違います。
なぜなら「it」に「t」が含まれていてoutという母音が最初に来る単語が続くから。当然フラップするのですよ。アメリカ人め…(2度目)。
リエゾンも加わってカタカナ英語でよく使われる「チェキラ!」にかなり近くなる。「チェキラゥッ!」ぐらいになれば完璧でしょうか。

というわけでこのフラップtは単語じゃなく文中にも広がることでかなり適用範囲が広がります。
音読パッケージを実践してみると1セクションに1回は出てくるんじゃないかな。それだけ使用頻度が高いわけです。
で、この規則をちゃんと知っておくとネイティブのスピーカーが発音してる場合もちゃんと理由が理解できる。
聞き分けは相当難しいけど発音は音読の際に何回も真似られるのでいつか聞き分けられるようになるんじゃないかろうか。
「put it on」とかね…。最初なに言ってるか一切わからなかったですし。

文中でのネイティブ発音を学ぶわけ

「いや別にクイーンズイングリッシュではそんな発音してないし別にネイティブ並の発音目指してるわけじゃないし。発音記号をちゃんと踏まえた発音すれば問題ない。」
そういった意見はわかります。イギリス留学とか出張などホントに英国系の発音をする人とのコミュニケーションだけを目指すのであれば不要でしょう。でもそうでなくアメリカ英語も学ぶ場合は完璧な発音を目指さなくてもここらへんは最低限知っとくべきだと思います。

なぜならまずヒアリングが出来ないから。英語上達完全マップでも言われてますが自分で発音できない音はヒアリングできないのです。
また日本で発売されている英語教材のほとんどがアメリカ英語です。上記のような特殊な事情がない限りアメリカ英語で学ぶのが楽でしょう。
「クイーンズイングリッシュで話されてる」を条件に教材を探すと圧倒的に教材の幅が狭まります。
イギリス英語のほうが日本のカタカナ英語に近い気が個人的にするので残念なんですけどね。

すべてはネイティブのリズムを学ぶため

あと最後に強調したいのはリズムです。これはけっこう見過ごされがち。
音読パッケージで大事なのは発音は当然として、イントネーション、もっと噛み砕いて言うとリズムだと思います。
またわかりやすいように簡単な例を上げますが(またテキトーなカタカナ英語ですいません。)、
「When I was」を「フウェン アイ ワズ」と発音するのとリエゾンを意識して「フウェナイ ワズ」と発音するのではリズムが決定的に違うのです。
リピーティングをやっているとネイティブはイントネーションと言うかリズムで意味を切っているのが分かりますよね。
もちろん簡単なリエゾンぐらいなら自然に真似るしフラップtも量をこなしてるうちに自然に口がそう動くようになってくるでしょう。

でも原理を理解していないと初見の単語の組み合わせが来た場合にはやはり対応できませんし、何より意識しないと習得に時間がかかるでしょう。
 

音読パッケージのリピーティングやシャドーイングっていうのはこのネイティブ特有のリズム感を自分でも真似ることによってヒアリング力だけでなく文構造に慣れることで文法まで総合的に高めてくれる勉強方法です。
それなのにリピーティング、シャドーイングする際にせっかく詰まらずスラスラ言えるようになったのにネイティブと違うリズムで読んでいては効果が下がってしまうのは容易に予想できます。
ですので発音の勉強が一段落して、ある程度音読パッケージに慣れてきて同じような疑問が湧いてきたときにこの本をオススメします。

ネタ元はすべてこの本

万能な発音教材はない

「まーた発音の本かよ。何冊目だよ」って言われると返す言葉はない。でも反省はしてない。
かなり浮気症みたいに思われてると思いますがそれはある部分ではあってます。
実際教材選び好きですし、そもそもだからこんなブログ始めて偉そうにレビューしてるわけだし。
ただ瞬間英作文や音読パッケージなど日々の軸となる教材は浮気してないですよ。みるみるどんどん一筋です。
でも発音はね、一冊でこれでオッケーってのはないんですよ。以下表を作ったので見てください。

  発声解説 フォニックス トレーニング 文章レベル
英語耳 × ×
フォニックス“発音”トレーニングBook × × ×
DVD&CDでマスター 英語の発音が正しくなる本 × ×
英語舌のつくり方 × ×

まあこんな感じ。なんか決定版ってのがないんですよ。
「これ一冊で全部カバーしてるよ!」って本あるなら逆に教えて欲しいぐらい。

英語舌について

で、この英語舌なんですが私が上でダラダラ素人説明したことが全部書いてますというかこの本で知りました。
「リエゾン」「フラップ」「リダクション」はもちろん他のネイティブ発音で疑問に思ったことが網羅されています。
なぜ辞書には発音記号だけじゃなくて音節(発音記号などに含まれる・みたいな区切り)が載ってるのかとか。
内容に興味を持ってもらうために下手な解説しましたけど断然正確に、より詳しくこの本に書かれてますよ。

あと他の本のように本の前半には単語レベルの発音も載ってます。lとrの発音みたいなやつね。
まあでも全部の母音・子音網羅されてないしCDもホントおまけレベルなのでこれで学習は無理でしょう。
欧米人がどんだけ息使ってるかとか発音のときにティッシュを口の前にかざすと動くかみたいな解説は面白いです。
他の本で学んだ発音の総復習にはいいかもしれません。でも素人がメインで使う本ではない。

ですので初学者はやはりDVD&CDでマスター英語耳などをまず通ることをおススメします。
上級者で発音記号とかlとrやbとvの発音ぐらい一通りできるんだけど 「リエゾン」「フラップ」「リダクション」とか知らなかったって上級者にはこれ一冊でいいかもしれない。

英語舌の位置づけ

ただこの本は上記のようなトレーニング本とはやはり少し違うんですよね。

語り口も口語体でかなり読みやすいですが繰り返し読んでトレーニングするような構成ではありません。
発音千夜一夜でトレーニング本としてオススメした英語耳軽くリエゾン、フラップのことが触れられていてCDにも収録されているのでこちらで少しは練習できます。(ただ解説はホント軽く触れてるぐらいですが。)
ですのでこの本は音読パッケージに飽きてきた頃にサプリメント的に使うのがいいのではないでしょうか。

最初にやるべきと言わないのは音読パッケージの初期などそれどころではないからです。
まずリピーティングやシャートーイングなど初めて経験する学習方法に適応するのにやっとでしょう。
また音読パッケージと並行して発音を学習始めるとこれも大変です。
個人的にきつかったのはth。theはもちろんthis,that,they,thoseなどやたら出てくる。
これをちゃんと発音本が言う通り舌を挟む、もうthを見ると反射的に舌が前に出るまで粘ります。
警告しておくと段階的にやらないと1セクションすら終わらないです。
最初はセクションすべてのthは無理だから文頭のだけ…徐々に半分…最終的には全部みたいに。
で、音読パッケージは基本毎日やりますから発音記号レベルはある程度意識せずに出来るようになります。
そうするとまた音読パッケージが単調になってくる…そういうときにこの本がおススメなのです。
疑問に思ってたことも解消できるし音読パッケージにも新たな指標が出来る。
もちろん早めに知っておくに越したことはないですけど最初から発音記号もフラップもなど手を広げすぎるともう簡単な文章すらリピーティング出来なくなりますよ。

サプリメント本の活用

この本をサプリメントと呼んだのは実際そういう主食に対する補助的な意味合いが強いからです。
あくまで主食は瞬間英作文や音読パッケージ。でもそればっかりだと飽きが来たり時間をかけないとわからないことが出てきたりする。
その際に問題集のように机に向かって励む必要もなくリファレンスの辞書や文法書のように堅苦しくない通読できる本です。
もちろん主食をきちんとバランスよく続ければ必要ないとも言えるのですがやっぱり手軽に吸収できるサプリメント本はありがたいものです。
注意するのはサプリメント本を主食としないこと。わかりやすい口調で書かれた本を通読したら英語力が上がってTOEIC900点に!などあり得ません。
サプリメントはあくまで補助。なので何冊もまとめて摂取するのはオススメしません。
ココらへんも本物のサプリメントと同じですね。

 

個人的にはあまり肩肘張らずに気軽に通読するスタイルがいいと思います。
具体的には休日とか。天気のいい晴れた日曜、特に予定はないんだけど家で勉強とかちょっとなーって時にはこういう本を一冊持って散歩でもしてから喫茶店でサプリメント本を通読するのが私の最近のスタイルです。

ブログのサブカテゴリにサプリメントというのを作りましたので今後もいい本があれば紹介したいと思います。 


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